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【内田雅也の追球】「最悪」想定と「最高」夢想 起死回生弾のマルテと好機で3三振の大山

スポニチアネックス - 9月15日(水) 8時0分

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(スポニチアネックス)

 ◇セ・リーグ 阪神4−4ヤクルト(2021年9月14日 神宮)
 落合博満は中日監督時代、「併殺打を打った打者でも握手で迎える」と話していた。得点が入ったケースである。
 たとえば、2010年4月15日の横浜(現DeNA)戦(ナゴヤドーム)。4回裏無死満塁で遊ゴロ併殺打の井端弘和をたたえた。「あそこで最悪は三振かポップフライで、次の打者が併殺という攻撃。あの1点がなければ、後の点は入っていない。ああいう野球でいいと言い続けているが、なかなかできない」
 本塁打の出づらいナゴヤドームを本拠地に、少ない点数で守り勝つ野球をしていた落合の哲学である。
 確かに、無死満塁、無得点は最悪だ。1点が入り、なお2死三塁が残る併殺打ならば「続く打者も随分楽に打席に入れる」とも話していた。
 この夜の神宮。テレビ解説で、その井端が落合の言葉通り話していた。
 無死満塁無得点に終わった阪神の5回表。大山悠輔見逃し三振、糸井嘉男二ゴロ併殺打と最悪の攻撃だった。
 井端は放送で「無死満塁はやはり、最初の打者ですね」と言った。「今日の場合、大山だったわけですが、併殺打でいいんですよね。1点が入って、2死三塁が残るわけですから」
 先発アルバート・スアレスがこの回先頭、中野拓夢へ危険球で退場。緊急登板の大西広樹は安打、四球と苦しんでいた。
 大山はフォーク、直球と続けて見逃して追い込まれ、3球勝負のフォークをファウル。続く内角直球を見逃した。最悪を想定、回避する姿勢だったかどうか。スコア0—2からの1点は大きい。
 大山は3回表2死満塁と7回表1死一、二塁で空振り三振、打席時にいた走者8人を1人も還せなかった。何も大山ばかりではない。チームとしても11残塁、2併殺の拙攻だった。
 最後に出たジェフリー・マルテの同点3ランがチームを救ったわけだ。敗色濃厚の9回表1死一、二塁から左中間スタンドへの一撃だった。
 ただ、そのマルテもそれまで好機に凡退を繰り返し、走者5人を還せないでいた。ブレーキに違いなかった。
 待てよ、と思う。マルテは4番打者として「最悪」など想定していたのではなく、常に「最高」を追い求め、最後に結果を出したのではないか。さらに、大山も中心打者として狙い球を絞り「最高」を描いていたのではないか。無死満塁で「最悪」を回避し、追い込まれる前に、軽打での内野ゴロを転がすことなど頭になかったのではないか。
 そして、起死回生の一撃など劇的性を生みだすのは「最高」を夢想する姿勢の方かもしれない。
 いや、選手たちは「最悪」と「最高」を使い分ける姿勢が求められていると言える。
 ともかく、この引き分けは大きい。雨中4時間を超えた疲労も吹き飛ぶ。教訓はより生きてくるだろう。 =敬称略= (編集委員)

 

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