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【内田雅也の追球】痛恨の三ゴロ併殺打2度 柳得意のカーブを狙い、力んだ阪神外国人

スポニチアネックス - 7月1日(水) 7時4分

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(スポニチアネックス)

 ◇セ・リーグ 阪神0—5中日(2020年6月30日 ナゴヤD)
 零敗の阪神が手を焼いたのは中日先発・柳裕也のカーブではなかったろうか。110キロ台の緩く大きな曲がりで、タイミングを外される。多投するわけではないが、打者にとっては「邪魔になる」球種である。
 阪神打者がカーブにどう対処したか。イニング(カッコ内の数字)別にまとめてみる。記号は、□=見逃しストライク、■=ボール、−=ファウル、◎=打球。長年、自分でスコアブックに記している記号である。
 (1)(なし)
 (2)−□□□
 (3)−□
 (4)□■■◎
 (5)□◎
 (6)◎
 (7)□■□□
 集計すると、▽見逃しストライク9▽ボール3▽ファウル2▽打球3となっている。
 カーブが来たのは、いずれも0ストライクか1ストライク時で、2ストライクと追い込まれてからはない。つまり、「決め球」ではなく、ストライクを稼ぐ「カウント球」として使っていた。
 見逃しが多かったように、打者は早いカウントから、あの緩い球を打つのは「凡打すればもったいない」という心理が働くのだろう。見送ることが多い。
 それでカウントを悪くし、結局落ちるシンカー(チェンジアップか)など変化球を空振りし、打たされた。残像が残るのか直球に振り遅れた。
 ならば、ストライクを取りにくるカーブを狙えばいいではないか。誰かがカーブを快打すれば、相手バッテリーの配球も変わるだろう。果たして、狙い打った結果は、最悪だった。
 4回表、6回表と2度の1死一、二塁の好機。ジェリー・サンズ、ジェフリー・マルテはともに三ゴロ併殺打に倒れた。
 打ったのは、ともに外角ベルト付近のカーブだった。サンズは初球、マルテは1ボールからの第1ストライク。狙っていたのだろう。バットの芯近くでとらえて快音を発し、強い当たりだったが結果は結果である。
 かつて阪急、近鉄を球団初優勝に導いた名将、西本幸雄は強力打線を売り物にした。阪急時代の大熊忠義や近鉄時代の佐々木恭介ら、当時の選手から聞いた話だ。西本は無死や1死、満塁や一、二塁の時——つまり併殺打を避けたい時——右打者にこう言った。「サードゴロは打つなよ」
 実にシンプルで的確な指示ではないか。難しいことは言わず、強引な引っ張りを戒め、力みを解きほぐしたわけだ。
 今回のサンズ、マルテが見せた、相手投手の得意球を打ちに出る攻撃性も、強振もたたえたい。ちなみにもう1本、カーブを打ったのは5回表1死の梅野隆太郎で投ゴロだった。
 日本プロ野球を代表する長嶋茂雄も野村克也も併殺打が多かった。強い打球が多い、右の強打者の宿命である。だが、彼らはそれ以上に殊勲打を放った。熱い心だけでなく冷静な頭で、力みや強引を自制していた。当欄で何度か書いてきた「ウォーム・ハート、アンド、クール・ヘッド」の姿勢である。
 つまりは、心の持ちようなのだ。開幕から続く貧打に、外国人打者を含め猛虎たちは誰もが頭も心も乱れている。
 6月30日だった。1年のちょうど半分が過ぎた。古来、6月のみそかには「夏越(なごし)の祓(はらえ)」といい、神社で茅の輪をくぐって罪や穢(けが)れを落とす風習がある。
 7月の反転攻勢へ、阪神としては「祓」を終えたと思いたいことだろう。=敬称略=(編集委員)

 

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