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「ノーベルの酒」全壊の蔵から始まった 晩餐会の常連に

朝日新聞デジタル - 12月7日(金) 19時33分

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(朝日新聞デジタル)

 日本にゆかりの受賞者が出ると、ノーベル賞の晩餐(ばんさん)会で振る舞われる酒がある。この酒を10年前から提供しているのが、神戸市東灘区にある酒造会社「神戸酒心館」(安福(やすふく)武之助社長)だ。阪神・淡路大震災の災禍を乗り越え、いまや「ノーベルの酒」の常連となっている。
 11月上旬、安福さんのもとに、スウェーデンからメールが届いた。「我々は8年間、ノーベルの寝酒(Nobel Night Cap 晩餐会行事の別名)を提供してきた。そして、もちろん今年もだ」
 送り主は、スウェーデンにある日本酒の輸入販売会社「Akebono」のオーケ・ノールドグレン社長。有名なソムリエで、晩餐会で出される酒類の選定を任されている。
 物理学賞の南部陽一郎さんや化学賞の下村脩さん(いずれも故人)らが受賞した2008年から、純米吟醸「福寿」が振る舞われてきた。長崎出身のカズオ・イシグロさんが文学賞を受賞した昨年に続き、今年で5年連続8回目だ。純米吟醸のすっきりとしたやや辛口で白桃のような香りが特徴だ。
 前身は、1751年創業の福寿酒造。1995年の阪神大震災で六つの木造蔵が全壊する被害を受けた。
 当時、米国の大学に留学していた安福さんは家族から電話を受け、CNNの映像を見た。「自分の育った町が壊滅している様子に衝撃を受けました」。従業員に被害はなかったが、よその蔵を借りて、細々と酒造りを続けるしかなかった。
 97年、観光施設を伴った神戸酒心館として再生。欧米やアジアなどにも活路を求め、スウェーデンには2007年から輸出を始めた。だが、知名度は高くなく、ノーベル賞の晩餐会に提案してみることにした。

 

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