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断水続き、「井戸水ご自由に」 岡山・倉敷で開放広がる

朝日新聞デジタル - 7月12日(木) 15時29分

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(朝日新聞デジタル)

 西日本を襲った豪雨により大規模に冠水し、断水が続く岡山県倉敷市真備(まび)町で、昔ながらの井戸を活用する動きが出ている。災害発生時、常に焦点となる水問題。避難生活や泥の片付けなどで衛生面が心配される中、住民の間で「共助」が進む。
 気温が30度を超えた11日、小野照生(てるお)さん(68)は汗と泥にまみれて自宅の片付けを終え、真備町市場のとある呉服店を訪れた。
 「この年で、きついわ」。周囲の人と話しながら店の裏手に回り、ホースから出る水で長靴を洗う。「水源」はポンプつきの同店の井戸。最寄りの避難所になっている市立薗小学校では被災者のため給水が始まっているが、「飲み水だから、長靴洗うのに使うのはちょっと……。ここでぜいたくに使わせてもらえてありがたい」と話す。
 泥のついたシャベルを洗っていたボランティア団体理事の小泉敦さん(35)は、岡山市内から通っている。「被災地の中で『洗わせてください』とお願いできるかどうか」。今後、ボランティアの数はもっと必要になる。「気軽に使えるのはめちゃくちゃ助かるし、情報交換の拠点にもなると思います」と言う。
 井戸を開放しているのは、「神原呉服店」。店を切り盛りする神原和良さん(70)によると、昔は周辺の多くの民家に井戸があったという。水道が整備され、井戸を閉じた所も多かったが、神原さんは洗濯や庭木の水やりに使っていた。「川とは水流が違い、水は透明なまま。役に立ってよかった」と言う。
 井戸の共有を発案したのは、神原さんの長女の咲子さん(40)だ。高知県立大学大学院教授で、専門は公衆衛生。4歳の長女と0歳の長男と帰省中に今回の豪雨被害に遭った。東日本大震災の被災地でも衛生対策を担ったが、「専門家なのに、自分のことと考えられていなかった」と言う。
 断水になると思い、慌ててペットボトルに水を詰めようとしたところ、店主で母の充代さん(64)に「うちは井戸があるから大丈夫」と言われ、井戸の存在を思い出した。7日からホースをつけて誰でも使えるように。「水を使うことをためらう人が多い。いかに普段の生活に近づけられるかが大切」と指摘。「行政による『公助』だけでなく、自助や共助でできることもある」という。
 真備町では同様に、「井戸水 ご自由にお使い下さい」と貼り紙をして提供する民家もみられた。
 倉敷市では12日現在、広範囲で断水が続いており、すべてが人口約2万3千人の真備町地区。市によると、9日から漏水箇所を調べるため、一部で試験的に水を通しているが全面復旧のめどは立っていない。(多鹿ちなみ、山田暢史、小沢邦男)
■断水24万戸、生活への影響続く
 厚生労働省によると、11日午後8時時点で、今回の豪雨による断水は全国で23万9141戸に及ぶ。県別では広島約20万7千戸、愛媛約2万2千戸、岡山約9600戸と、被害が大きい3県が大部分を占める。
 断水の規模が大きな主な自治体は、広島県内は呉市9万3279戸、尾道市5万8647戸、三原市3万4840戸、江田島市9936戸、広島市(坂町含む)7300戸。愛媛県内は大洲(おおず)市9059戸、宇和島市6568戸。
 広島県内では、県の水道施設が次々に被災し、工業用水も影響を受けた。送水を再開すると、新たに水道管の被災が判明する可能性もあり、解消までには時間がかかりそうだ。
 広島市内を流れる太田川の水を呉市内まで運ぶ水道用トンネル(長さ約16キロ)や地上の点検用施設が土石流の被害を受けた。道路が寸断されており、現地入り出来たのは9日だった。呉市や江田島市、愛媛県今治市の一部など3市1町で断水。東部では、三原市にある本郷取水場が7日に冠水。隣を流れる沼田川が氾濫(はんらん)してポンプ室などが被害を受けた。
 愛媛県内では、大洲市で複数の水源地が水没。宇和島市では浄水場が土砂崩れで埋まり、復旧には時間がかかる見通しだ。市は給水車のほか、漁船や活魚車も使って水を運んでいるが、行き届いていないという。

 

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