MY J:COM

確認・変更・お手続き

最新ニュース

スポーツニュース

インタビュー

お天気情報

社会

日本の食品ロス…休日フードバンクに参加、ボランティアの若者が感じたこと

THE PAGE - 6月14日(木) 10時30分

拡大写真

(THE PAGE)

「食品ロス」への関心が高まっています。愛知にも食品ロス問題に取り組む「フードバンク」と呼ばれる団体があります。名古屋市の認定NPO法人「セカンドハーベスト名古屋」は今年4月、業務拡大のため北区内で拠点を移しました。通常の活動日とは別に、学生や社会人向けに毎月設ける「休日活動」も継続、若い人たちがコンスタントに参加しています。その様子をのぞきました。

学生や社会人向けに月一で「休日活動」

セカンドハーベスト名古屋は、日本初のフードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」の活動に共感した名古屋の有志が立ち上げ、2009年にNPO法人化。当初は東区のカトリック主税(ちから)町教会内を事務所にしていましたが、14年に北区の柳原商店街内に移転、さらにこの春、同じ北区内で城東町の倉庫をリフォームして3カ所目の拠点としました。

活動は、団体や個人から賞味期限間近だったり、印字ミスなどで商品にできなかったりする食品を譲り受け、食べるものに困っている人たちに届けること。17年度は約190の企業・団体などから計約450トンの寄付を受け、東海地方の約200団体へ提供しました。

食品の受け入れや整理作業の多くはボランティアスタッフが支えています。その活動時間は年間1万2,000時間に及ぶそうです。

活動は平日が基本ですが、3年前から月に一度、「休日活動」の場を設けています。平日の参加が難しい学生や仕事をしている社会人に、活動の体験を通して食品ロスを取り巻く現状の理解を深めてもらうのが狙いです。

休日活動の定員は6人。呼び掛けはホームページとフェイスブックからのみですが、毎回定員近くの人が集まるそうです。学生と主婦が多く、男女比は男性3割、女性7割。女性の方が関心が高いようです。

「これだけの理由で捨てられる?」驚く参加者

6月3日の参加者は、学生2人と社会人2人の計4人。

管理栄養士になるため勉強している大学生の滝みさきさん(24)は「以前、読んだ本にフードバンクのことが書かれていて、インターネットで調べてセカンドハーベスト名古屋を見つけました」と参加のきっかけを話します。

倉庫内には企業や個人からの寄付のほか、行政が保管していた保存食なども置かれていました。スタッフが参加者に商品を見せながら、寄付の理由を説明します。

包装ミスの中には、印字が若干薄かったり、文字の「ドット」がメーカーの基準よりやや荒かったりするものがあります。外箱がほんの少しだけ傷ついているなど、普通に売られていても気が付かないものも少なくありません。

物理的な問題以外にも、「3分の1ルール」という独特の商慣行の問題もあります。「納入期限は、製造日から3分の1の時点まで」、「販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」といったルールで、まだ食べられるものが売り場から撤去されてしまうのです。

実物を手に取り、「えっ、これだけのことで」と驚く参加者もいました。

難しい箱詰め、食品に「手紙」も添えて

それらを食に困っている人に届けるために箱詰めする作業は、1人2組で行われました。行政などから届く「依頼書」のサンプルを元に、必要な食品をピックアップして、段ボールに詰めていきます。

段ボールには「一箱に入れられるだけ入れる」のが基準。通常は米5キロに缶詰やその他の食品を入れて13キロほどが詰められ、単身で3週間は過ごせる量になるそうです。

しかし、学生の滝さんと、会社員の辻山治樹さん(31)は初めての箱詰めで、目いっぱい詰めたものの、軽い食品を入れすぎたのか全部で5キロ。

「スーパーでアルバイトした経験もあったので何を入れればよいか、それから自分の祖父も想像しながら詰めました。でも、いろいろ考え過ぎちゃったからかな。結構しんどかったです」と滝さんは苦笑いしていました。

また、段ボールには食品だけでなく「手紙」も同封されます。多くの場合、ボランティアスタッフが自発的に手紙を書きます。それに対して、受け取った人の約7割が「返事」を送ってきます。その内容は食に関してだけでなく、「手書きの手紙に助けられた」という感謝の気持ちもつづられているそうです。

「食を通じたセーフティーネットづくり」に

理事長の山内大輔さん(35)は「国内の相対的貧困は2012年度の16.1%から15年は15.6%に減少したものの、生活保護受給率は増加傾向にあり、こどもの貧困も問題視されています。貧困と食品ロスは別問題でありながら、一般の人からは見えにくいという共通点もあります」と指摘した上で、「私たちの役割は食品ロスをなくすことではなく、食を通じて経済的に困っている人々のセーフティーネットを構築すること」と強調しました。

寄付される食品は、小売価格にして2億7,000万円分以上。一方、寄付で一番ありがたいのは白米より長く保管でき、必要に応じて精米できる「玄米」ですが、低温倉庫での保管に年間約50万円、精米代に年間約17万円ものコストが掛かるそうです。現在は助成金と寄付金などで経費をまかなっていますが、決して余裕はありません。

こうした深刻な現実が、若い人を「なんとかしなきゃ」と活動の現場に向かわせているのでしょう。

(吉田尚弘/Newdra)

■吉田尚弘(よしだ・たかひろ)写真家。1991年、愛知県生まれ。海外のスラム街や紛争地取材などをライフワークとして、雑誌への寄稿や講演活動をしている。国内では商業写真も含め、ドキュメンタリータッチの写真が得意。

 

最新の記事

掲載情報の著作権は情報提供元に帰属します。
Copyright(c) Kyodo News All Rights Reserved./Copyright(C)Wordleaf Corporation. All Rights Reserved.