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「空飛ぶ官邸」、不思議な空間 政府専用機の中は?

朝日新聞デジタル - 3月14日(木) 16時0分

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(朝日新聞デジタル)

 赤のラインをまとった白い機体に「日本国 JAPAN」の文字。尾翼には日の丸——。天皇陛下や首相が外国訪問時に手を振って乗り込む姿がニュースなどでおなじみの政府専用機。1993年以来、318回にわたり要人を運んできた現行機(B747—400)が今月末で退役。新型機(B777—300ER)へと切り替わる。機内には、特別なようで意外と普通、普通にみえて謎に包まれた、ちょっと不思議な空間が広がっている。
■CAは自衛官
 首相の外国訪問時には同行取材記者も同乗する。羽田空港のVIP専用の駐機場から乗り込む。現行機の2階建ての大きな姿はまさに「ジャンボ」。同じ飛行機が2機あり、空のもう1機が時間差で飛ぶことで、訪問先でのトラブルに備えている。
 入り口は前後の2カ所。記者や随行員は後ろから乗り込む。迎える客室乗務員は自衛官。階級章つきの濃紺の航空自衛隊の制服に身を包んでいる。政府専用機専門の特別航空輸送隊の隊員だ。
 パイロット、整備員、運航管理者など専用機のスタッフ全員が特別航空輸送隊の所属だ。客室乗務員は接客以外に荷物の積み込みも担う「空中輸送員」だ。同隊は人気職場で隊員は希望者から選抜された精鋭で、空士長以上で構成されているという。運航ごとに1機15~25人でチームを組む。
■前に進むほどスペシャル
 機内の様子を後から前に向かって紹介しよう。
 最後部が記者や随行員の一般客室(89席)だ。座席は一般旅客機より少し広く2席、4席、2席の配置。正面には演台の上に後方を向いた大きな椅子が3席ある。マイクもあり、記者会見が開かれることもある。
 その先には同行する幹部公務員らの席(39席)があり、こちらはビジネスクラスのしつらえだ。さらに先にはオフィススペースがある。秘書官席(11席)は移動中も執務をするためゆったりと席が配置されており、ドアで仕切られた会議室にはテーブルもある。作業室にはファクスやコピー機が据えられている。「ジャンボ」特有の2階席には飛行中には作業のない特別航空輸送隊員が座る。
 1階のさらに先には貴賓室がある……のだが、防衛省は危機管理を理由に非公開としている。ただ、就航前の1991年11月には報道陣に公開されており、当時の朝日新聞記事には「1階前部にある貴賓室には首相の執務室やソファベッド、夫人のためのレディースルーム」とある。機内のレイアウトは、4月から切り替わる新型機でも大きくは変わらないという。
■独自の「愛」にじみでる
 機内はベージュを基調に落ち着いた雰囲気だ。座席前のポケットには紺の袋入りのスリッパがある。タオル地で、足の甲の部分に航空自衛隊の略称「JASDF」との刺繡(ししゅう)がある。貸し出される青色の毛布にも金字で「JASDF」との刺繡(ししゅう)入り。ゴワゴワして重いが保温性は高い。いずれも専用機オリジナルだ。離陸前に前方の大型モニターで流される「機内安全ビデオ」もオリジナル。シートベルト着用方法や緊急時の脱出方法を案内するのは空自の隊員だ。
 各座席には機内食や、飲み物、映画・音楽などの案内が書かれた冊子が置かれている。名刺大の紙に座席番号と搭乗者の名前の印字された「チケット」もあり、どちらにも自衛隊員が撮影した政府専用機の写真がデザインされている。全景だったり、アップだったり、凝った構図から隊員の「専用機愛」がうかがい知れる。
■食事は?お酒も飲める?
 政府専用機は輸送機や戦闘機と異なる旅客機のため、一部の専門性の高い部品の整備や客室乗務員の接客訓練は日本航空に委託している。映画・音楽などの機内エンターテインメント、食事や飲み物の納入も委託先の関連会社に依頼している。新型機の委託先はANAホールディングスに変わる。
 機内食は、和食と洋食あるいは肉か魚、肉か鶏など2種類から選べる。軽食には日本航空が国際線で提供するカップ麺もある。飲み物にはアルコールもあり、ビールはアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーから選べる。ワインは赤と白で銘柄は毎回のように異なる。芋焼酎は「富乃宝山」、麦焼酎は「中々」、日本酒は「純米大吟醸 伯楽星」が近年の定番だ。メニューには「リポビタンD」もあり、多忙な首相の警護官のリクエストだという。
■けっこう攻めてる機内映画
 現行機は座席にモニターがなく、映画は前方の大型モニターで上映される懐かしのスタイル。ジャンルは豊富でアニメ映画も流れる。森友・加計問題をめぐる公文書改ざん問題で首相が国会で追及を受けていた18年5月のロシア訪問時には「ペンタゴン・ペーパーズ」が流れた。政権が事実と異なる説明を国民にしていたことを示す、米国防総省の最高機密文書を報じた米紙ワシントン・ポストの物語だ。空自は「上映作品の選定は関連会社に任せているため、選定に関与していない」と説明する。
 政府専用機に乗る記者は「政府専用機使用料」という名目で運賃が請求される。今年1月の首相のモスクワ、スイス・ダボス訪問時の記者1人あたりの使用料は47万4千円だった。防衛省によると民間航空会社のエコノミークラス相当の普通航空運賃に一定の割引率をかけて請求しているという。

 

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