MY J:COM

確認・変更・お手続き
  • 最新

最新ニュース

エンタメニュース

インタビュー

ライフスタイル

黒いスーツの異形の怪人「スレンダーマン」…フォトショ画像が世界的な都市伝説になるまで

Discovery Channel - 5月14日(火)

10年前、ある奇怪な写真がネットを中心に話題となった。

古ぼけた写真に写っている、黒いスーツを羽織った、しかし異様に背の高い謎の人物。この奇妙な写真は、「スレンダーマン(Slender Man)」という怪人を捉えたものだとして、多くのネットユーザーに驚きを与えた。その驚きはネットの世界を超えて現実世界にも都市伝説として伝わり、現在では、この怪人を題材にした映画やゲームがいくつも作られているほどだ。

世界中で都市伝説として語られるようになったスレンダーマン。その始まりとなった、シカゴ出身の男性がフォーラムに投稿した画像。なぜこの画像は話題となり、都市伝説になったのかを本稿では紹介しよう。

 

目次

  • スレンダーマンの伝説とは
  • スレンダーマンの始まり
  • スレンダーマンに関連した事件
  • 現在でも増え続ける都市伝説

 

スレンダーマンの伝説とは

都市伝説におけるスレンダーマンは、時に子供達の前に姿を表し、執拗に追いかけ誘拐するとされる。さらわれた子供たちは、そのまま行方不明になるとも、死体となって発見されるとも言われる。

スレンダーマンの逸話として広く知られているのは、1986年6月13日、アメリカのスターリングシティで14人の子供たちが突如として行方不明となった事件の話だろう。マリー・トーマスという地元のカメラマンがその出来事の写真を撮影していたが、彼女もまた行方不明になったとしている。

マリーが撮影したフィルムは発見されたが、回収した政府職員によってその中の数枚の写真が隠蔽された。そして1週間後、写真を保管していたスターリング市立図書館が火災に見舞われ、火災現場からマリーが撮影したものと思われる写真の1枚が発見、これがオンラインフォーラムに投稿されたものだとしている。

その後、この写真はインターネットを中心に瞬く間に世界中へと広がった。そして現在でも、スレンダーマンはどこかで子供を狙い続けているのだと囁かれるようになった。

 

スレンダーマンのはじまり

2009年にフォーラムに投稿された画像 Credit: Something Awful (Web Archive)

では、このスレンダーマンの伝説はどこから始まったのだろうか。

結論から言ってしまうと、スレンダーマンを捉えたとする2枚の写真は、2009年に米シカゴ出身のエリック・ナドセンという男性が画像編集ソフト「Adobe Photoshop」を使って加工した創作画像であった。

ネット上ではVictor Surgeというハンドルネームを使っていたエリックは、2000年に開始されたアーティスト向けのオンラインフォーラム「DeviantArt」に投稿する作品として、はじめてスレンダーマンを創作した。このとき、エリックは日本の長崎に住んでいたとされる。

そして2009年、「Something Awful」というフォーラムが、Photoshopでどれだけ怖い画像を加工できるかというコンテストを開催した。エリックは写真とスレンダーマンを合成した画像に「2枚のうちの1枚はスターリング市立図書館の火事現場から回収したもの」「1986年撮影、写真家マリー・トーマスは1986年6月13日以降は行方不明に」などのキャプションをつけ、フォーラムに投稿した。

エリックが加工したスレンダーマンの画像がとても怖いと話題となり、フォーラムを超えてさまざまな人が画像に物語をつけて転載を行ない、ネットミームになっていった。やがて、英語圏以外でもスレンダーマンが語られるようになった頃には、この画像と物語の部分だけが切り取られ、まるで昔からあった都市伝説として語られるようになったのである。

スレンダーマンに関する都市伝説が諸説あるのは、エリックが作った2枚の画像からインスピレーションを受けたネットユーザーらによって物語のバリエーションが増やされたためだ。

 

スレンダーマンに関係した事件

オンラインフォーラムを超えて広く拡散したスレンダーマンの伝説だが、本当のことだと信じるものも出てきている。

2014年5月31日、米ウィスコンシン州で当時12歳だった少女2人が、ネットのホラー専門サイトで話題になっていたスレンダーマンに触発され、同級生を刃渡り13センチのキッチンナイフで19回も刺すという事件を起こした。

刺された同級生は一命をとりとめ、犯行に及んだ少女2人はまもなく逮捕された。少女らは、スレンダーマンの存在を信じ、スレンダーマンが家族に危害を与えないよう、代理人として犯行を行なったのだと警察に説明した。

2017年12月、裁判所は実行犯の少女1人に対し、25年の精神科病院への収容を言い渡す判決を出した。もう1人の実行犯の少女に対しては、2018年2月、40年の精神科病院への収容を裁判所が言い渡した。

少女らには精神疾患が疑われているが、創作物を事実だと信じ、狂気の犯行に至った実例として全米を騒がせることとなった。

 

現在でも増え続ける都市伝説

Credit: Creative Commons

スレンダーマンは、前述した経緯や都市伝説と言いながらもキャラクター商標をMythology Entertainment社が持っていることから、創作物であることは明らかである。

だが、一部の事実を伏せて拡散したことによって、スレンダーマンは現実の存在だと信じるものも現れた。現代社会においても特定の条件が揃えば、新しい都市伝説が容易に生まれるのだとスレンダーマンは証明したのかもしれない。

(2019/05/14)
 

掲載情報の著作権は情報提供元に帰属します。
Copyright @2019 Discovery Japan, Inc. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.