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葉っぱ一枚で東京の巨大魚を狙え!江戸川のソウギョ釣り

Discovery Channel - 4月11日(木)

釣り人にとっての夢といえば、やはり『大物』。これに尽きる。
だが体長1m、体重20kgを超えるような巨大魚、しかも淡水魚を狙うとなるとそれこそアマゾンだのナイルだの、海外へ足を伸ばす必要が出てきてしまう。
…と思いきや、実は東京都内でもそんな化け物サイズの川魚が釣れてしまうのだ。

江戸川に…巨大魚が??

その大物とは江戸川をはじめとする利根川水系に生息する『ソウギョ』という魚である。

ソウギョは中国を原産とする魚で、本来は日本に分布する種ではない。だが外来魚とはいえ国内で、しかも首都・東京都内でこれほど大きな魚が見られるとは驚かざるをえない。

さらに面白いのがその釣り方で、なんと使用する餌がただの葉っぱ1枚なのだ。ソウギョは漢字で『草魚』と表記し、その名の通り草食性の魚である。水草や藻類、落水した果実を食うばかりか、増水時には水面に浸ったアシの葉も大喜びで噛みちぎり、むさぼる。

ゆえに釣り針にアシの葉を一枚ひっかけ、餌場の水面に垂らしておくだけで釣れてしまうのだ。

釣り餌はなんとただの葉っぱ!

とはいえ、ソウギョ釣りならではのコツも必要である。まずソウギョの餌場の見分け方だが、利根川水系の場合は水際のアシを見て回るとすぐに判別できる。先端が不自然にちぎられているアシの葉があれば、それこそがソウギョの食事痕。索餌に際しての回遊ルートの一端である。
そこに葉を浮かべればいいのだが、葉っぱ一枚だけでは気づかずに通り過ぎてしまう可能性がある。

葉先を食われたアシ。ソウギョの回遊ルートを示す目印だ。

そこで、足留めのために即席の『食堂』を作ってやるのだ。アシを数本切って束にして水際に浸すと、ソウギョは空前のチャンスとばかりに夢中で食い漁る。そこに針つきの葉が仕込まれているとも知らずに…。

大好物のアシを束ねて水に浸しソウギョをおびき寄せる。

また、ソウギョは水際で餌を探す習性ゆえか、水上の光や音、振動に対して巨体に似合わず非常に敏感である。そのため迂闊に水面を覗き込んだり、ライトで照らしたりしてはいけない。足音を立てるのもご法度。ソウギョを狙う際は抜き足差し足が鉄則だ。
あとは静かに待つ。葉っぱを浮かべて何時間でもじっと待つ。はたから見れば変人だろうが、ただただ待つ。

そうすればやがて糸が水中へ力強く引き込まれていくはずだ。ソウギョはコイに近縁な魚で、体のつくりや体色はよく似ている。しかしさらに大型で、体型は流線型で尾鰭も大きく、より遊泳に特化した体つきをしている。つまり引きが非常にパワフルで、針にかけてからちょっとした格闘を強いられることになる。静と動が瞬時にくっきりと切り替わる釣りである。

アシの葉で釣り上げられたソウギョたち。コイに似るがより遊泳に適した体型で、強い流れの中でも餌を採れる。
アシの葉で釣り上げられたソウギョたち。コイに似るがより遊泳に適した体型で、強い流れの中でも餌を採れる。
ソウギョの顔。ヒゲはない。真一文字に閉じる口は草を食むのに適している。

ところで、なぜソウギョは利根川水系に多産するだろうか。
ソウギョは頑健な魚であるが、長江水系をはじめとする大河を原産とするだけあって流程の長い河川でなければ繁殖することができない。産み落とされた卵は川底を転がりながら成熟、やがて孵化するのだが、半端な長さの川では未熟なうちに海へ流れ出て死滅してしまうのである。

そのため、かつて日本には食用目的で持ち込まれ各地に放流されたが、とりわけ長い流程を誇る利根川水系でしか繁殖・定着できなかったのだ。

中華食材としても人気が高い。泥を食むコイに比べて臭みがなく美味。

しかし、飼育下における養殖技術が確立されて種苗が出回るようになり、現在ではその食性を生かして除草/除藻を目的とした放流が各地の湖沼や河川、用水路、城の堀などで行われている。
そのため、利根川水系に限らずあちこちでその巨体に遭遇する機会は少なからずある。大阪や名古屋、福岡などの大都市でも然り。むしろこの手の外来魚は人が多いほど放流の頻度が増すため、街中で見かけることも多い。ありがちな「謎の巨大魚目撃情報」の真相は多くの場合、ソウギョを知らぬ人々がその見慣れぬ巨体に腰を抜かしたという話だったりもする。

平坂寛

*Discovery認定コントリビューター

生物ライター。五感で生物を知り、広く人々へ伝えることがポリシー。「情熱大陸」などテレビ番組への出演や水族館の展示監修などもつとめる。著書に「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)
「外来魚のレシピ: 捕って、さばいて、食ってみた」「深海魚のレシピ: 釣って、拾って、食ってみた」(ともに地人書館)がある。
ブログ:平坂寛のフィールドノート

(2019/04/11)
 

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