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真冬の夜にSL撮影会 昭和浪漫溢れる大井川鐵道ナイトトレイン

THE PAGE - 2月13日(火) 14時30分

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(THE PAGE)

 厳冬の夜にSLを楽しむ、そんな企画が人気だという。静岡県中部、大井川沿いを走る大井川鐵道の「SLナイトトレイン」。1回の定員は80人。例年応募が殺到し抽選に当選した者だけが参加できるプレミアム企画だ。寒い冬の夜にSL? と首を傾げる方もいるかもしれない。そこで、SLナイトトレインの魅力がどこにあるのか、どんな人たちが参加しているのか取材した。

旧国鉄を再現、C10形8号機が客車3両をけん引

 真冬に2回だけ運行されるSLナイトトレイン。静岡県島田市にある大井川鐵道・新金谷駅を訪ねると、構内に停車しているSLにカメラを向けている光景が早速、目に飛び込んできた。

 SLの動態保存で知られる大井川鐵道。最近は「きかんしゃトーマス号」を運行する鉄道として親しまれている。SLナイトトレインの新金谷駅発車は午後4時21分。ホームでは客車3両を連結したC10形8号機がすでに待機していて、カメラを手にした乗客たちが“主役”に熱い視線を投げかけ、機関士にもシャッターを切っている。大井川鐵道によるとC10形8号機は23両しか製造されなかった希少な蒸気機関車。現存しているのは大井川鐵道だけだという。
 出発の時刻が近づき、カメラを構えていた乗客たちがスタッフに促されて茶色の客車に乗り込み始めた。やがてC10形8号機は気笛を鳴らして新金谷駅を出発、冬とはいえ午後4時半はまだ周囲も明るくナイトトレインという雰囲気は感じられない。客車の座席は4人掛けですべて自由席。参加者は思い思いに席を陣取り、まずはSLの旅を楽しむといった風情だ。

 それにしても男性が多い。9割以上が男性だ。首都圏から1人で参加した男性、自身も鉄道会社で仕事をしているとのこと。「SLの運転士になりたくて鉄道の会社に入ったんだけど……。親戚がこっちにいることもあって2カ月に1回は(大井川鐵道に)乗っている。SLは秩父や真岡にもあるけど、ここは客車が古いのがいい。SLの写真を撮って、酒が飲めれば最高」と話す。座席の一角には写真機材を入れた大きなバッグが置かれていた。

「表情が違うのが魅力」「ほのぼのとした鉄道」

 名古屋から参加の20代の男性。撮り鉄ではなく、SLの写真を趣味で撮っているという。ナイトトレインは毎冬応募しているが、去年は抽選にはずれてくることができなかった。

 SLを撮る魅力について聞くと、「気温や風向き、乗務員の癖で煙の出る量が違ったり。写真を撮るたびに違う表情を見せてくれる。その瞬間を切り取るのが楽しい」と熱く語ってくれた。

 数少ない女性参加者の中には、障害のある息子さんと一緒に参加の母親の姿も。「息子はSLが大好きなので大井川鐵道によくきます。大井川鐵道の職員の方が気さくに息子に話しかけてくれるので、安心して楽しめます。ほのぼのとしたいい鉄道です」と話していた。
 気がつくととっぷり日が暮れて、車窓に映る大井川や山間の風景も夜のしじまに浮かんでいる。外は寒そうだが、客車の中は蒸気機関車のスチームで心地よい暖かさだ。3両編成の客車は「一等車」「二等車」「三等車」と記され、木製の4人掛けの座席と網棚に昭和が漂う。

 車内には「昭和10年代から20年代にかけて東海道本線の最新標準型として活躍した形式です」との説明書きも。大井川鐵道によると、客車は旧国鉄時代によく見られた、最後尾に貫通扉のない客車を充当した編成。車内アナウンスのチャイムも旧国鉄列車のチャイムを再現したという凝りようだ。

凍てつく寒さも気にせず屋外転車台で熱撮

 1時間超の「昭和の旅」を楽しむと、C10形8号機は陽がすっかり落ちた千頭駅に到着した。降車すると寒さが容赦なく襲ってくる。

 参加者は千頭駅の待合室に集合し、そこで2班に分けられた後、支給されたヘルメットをかぶって、いよいよ夜のSL撮影会に臨んだ。

 まずは千頭駅のホームでC10形8号機と客車3両を撮影。その後、千頭駅構内にある、明治30(1987)年に英国で製造された人力で回転させる転車台に移動し、転車台の上のC10形8号機をじっくりと撮影。C10形8号機は、時折、気笛を鳴らしたり、煙を吐き出したりしてサービスしてくれる。

 冬の凍てつく寒さも気にならない様子で、ヘルメットをかぶった参加者たちは、SLの周りに三脚を立てて制限時間ギリギリまでシャッターを切ったり、音を録音したりしていた。皆、ヘルメットをかぶって熱心に撮影していて、知らない人が見たら鉄道マンが作業をしているように見えたかもしれない。
 撮影会が終了し、午後8時前、参加者たちは再びC10形8号機の牽引する客車に乗って新金谷駅へ。帰りの車内は、お弁当やトン汁が配られ、景品の抽選も行われてイベント会風。大井川鐵道のスタッフによると、SLナイトトレインを始めて15年になるという。

 大井川鐵道ではほぼ毎日SLを運行していて、SL運行は春の桜のシーズンや夏など季節によって違いはあるものの、新金谷―千頭駅間を1日1往復するのが基本だという。それだけに冬の夕暮れから夜にかけて運行される臨時SLのナイトトレインは、普段とは違うSLを体験したいという人たちにとってプレミアムなイベントになっているようだ。

 C10形8号機と客車3両が新金谷駅に到着すると参加者からは「あー、着いちゃった」とため息も。昭和にタイムスリップしたかのような、そんな懐かしい思いに浸れる列車、それがSLナイトトレインだった。

 

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