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環境政策リードを自負ー個人も対象、都がグリーンボンド再発行する理由とは

THE PAGE - 12月6日(水) 19時4分

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(THE PAGE)

 地方自治体は、さまざまな債券を発行して資金を調達しています。そうした中、近年になって注目されているのが、グリーンボンドと呼ばれる環境に配慮した事業に充てられる債券です。

 今般、金融業界ではESG投資と呼ばれる機運が高まっています。ESG投資とはE:環境=Environment、S:社会=Social、G:企業統治=Governanceの頭文字を取ったものです。ESG投資では企業の経営状態だけではなく、環境保全の改善や労働者保護といった社会的責任も含めた評価が影響してきます。

 株式と同様に、市場から資金を調達する債券もESG投資の潮流を無視することはできません。しかし、グリーンボンドの発行には、さまざまな手続きが必要になります。そのため、ほかの資金調達手段に比べて手間や時間がかかるといわれます。

個人投資家にも対象拡大

「小池百合子都知事は環境大臣の経験もあり、環境政策には高い関心を持っています。そのため、都知事に就任してからも環境政策には力を入れてきました。グリーンボンド発行も小池都知事の環境政策に対する強い後押しがあったからです」と話すのは、都財務局主計部公債課の担当者です。

「水質汚染や大気汚染、緑化といった環境改善は短期間では達成できません。長い目で見て取り組む必要があります。永続的に環境政策をおこなうべく、都はグリーンボンドを発行し、その財源を確保することにしたのです」(同)。

 昨年にグリーンボンドのトライアル版「東京都サポーター債」を発行した都は、今年10月には機関投資家向けにグリーンボンドを発行しています。

 グリーンボンドの政策メニューは環境改善・省エネといった抽象的なものが多く並びますが、移転作業が進められている都公文書館のZEB化(ゼロ・エネルギービルディング化)など、実施例も出始めています。

 こうした経験を基にして、個人投資家にも対象を広げた東京グリーンボンドを発行することを決めました。そこには、都が環境政策をリードするという強い自負も込められています。

実績から安定的リターンが出ると判断、豪ドル建てで発行

 このほど発表されたグリーンボンドの発行概要を見ると、発行額は1億1700万豪ドル(約100億円)になっています。

 昨今、投資ブームによって個人投資家は増えていますが、外貨建ての株式や債券の購入は為替リスクや手数料などの要因から、ハードルが高いと言われています。これだと、都民や投資家が東京グリーンボンド購入に及び腰になってしまうのではないでしょうか?

「外貨建てということで、そうした懸念はあります。しかし、今のゼロ金利・マイナス金利という社会状況で円建て債券を発行するとリターンはほとんどありません。それでは、投資家に魅力的な金融商品と映らないのです。グリーンボンドが社会的意義のある政策に使われることは、投資家も理解しています。他方、社会的な意義だけでは債券は購入してもらえませんし、資金を調達することはできません。金融商品としても魅力的でなければならないのです」(同)。

 米ドルやユーロ建ても検討しましたが、都は2014(平成26)年から「グローバル都債」という豪ドル建て債券を発行している実績がありました。

「豪ドルは安定的にリターンを出すことができるという判断もあって、豪ドル建てで発行することを決めたのです」(同)。

調達資金で行う事業は周辺自治体にもメリット

 東京グリーンボンドは、都内在住者や通勤・通学者だけではなく隣接する神奈川県・埼玉県・千葉県に在住・在勤・在学している人でも購入が可能です。都が発行し、都の事業に使う財源を集める債券なのに、どうして他県民でも購入できるように制度設計されているのでしょうか?

「都がグリーンボンドで調達した資金で手掛ける事業は、都だけに資するものではないからです。例えば、多摩川の水質改善は神奈川県民にもメリットがあります。また、環状道路なども埼玉県民・千葉県民が利用しますので、沿道の緑化は東京都だけではなく、周辺自治体にとっても重要な政策なのです。そうしたことから、神奈川県・埼玉県・千葉県の方々も購入対象にしています」(同)。

 都が発行する市場公募債総額は、年間4700億円あまり。その金額からすれば、グリーンボンドの発行額は微々たるものと言わざるをえません。

 しかし、国内におけるグリーンボンド発行体はまだ少なく、都の試みはチャレンジングだと言えます。都の取り組みが広がり、追随する自治体が現れることを期待したいものです。

 小川裕夫=フリーランスライター

 

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