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日本でも広がる?自治体初、都が発行目指す債券「グリーンボンド」とは

THE PAGE - 5月20日(土) 10時10分

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(THE PAGE)

 「28度は暑すぎる」という環境副大臣の発言が話題になり、改めて“クールビズ”が注目されています。地球温暖化を少しでも食い止めるため、CO2の削減を目標に導入された“クールビズ”は小池百合子環境大臣(当時)が発案したとされています。

 昨年、東京都知事に就任した小池知事は、都独自の環境政策にも熱心に取り組む姿勢を打ち出しています。例えば、家庭内の電球をLEDに取り換える奨励策やCO2削減のために自転車シェアリングの拡大・普及を後押ししていたりします。また、知事自らが太陽光発電パネルを設置し、省エネルギー化が図られている邸宅に居住。環境に取り組む姿勢をPRしています。

 さまざまな環境政策を打ち出している小池知事ですが、今、注目されているのがグリーンボンド債の発行です。現在、日本においてグリーンボンド債が発行された事例は数えるほどしかなく、地方自治体が発行した前例はありません。注目が集まるグリーンボンド債とは、どんな債券でしょうか? そして、なぜ注目されるようになっているのでしょうか?

2015年パリで開催されたCOP21がきっかけ

 近年、アメリカやヨーロッパでは環境意識の高まりから、グリーンボンド債が注目されるようになっています。世界のグリーンボンド債の発行総額は、2015(平成27)年度が約418億USドル、翌2016(同28)年度は810億USドルと急伸しているのです。これらの数字は、債券市場全体から比較すると、まだまだ小さな額です。それでも驚異的な伸び率と言えます。

「グリーンボンド債が国際的に注目されるようになったのは、2015年にパリで開催されたCOP21がきっかけです」と説明するのは、環境省総合環境政策局環境経済課の担当者です。

 それ以前より、欧米諸国の投資家、特に機関投資家の間でESG投資の機運が高まっていました。ESGとは、Ecology=環境・Social=社会・Governance=統治を考慮する投資方法です。ESG投資の機運が高まっていた背景は、2006(平成18)年に国連が機関投資家に対してESGに配慮するように求めたことが一因にあります。

 そうした潮流から、地球温暖化対策や自然資本の劣化を防止するための政策・プロジェクトに対して民間資金を導入することを目的にしたグリーンボンド債の発行が相次いだのです。

第三者機関による厳しいチェック体制が必要 ── 投資家からは信頼

「グリーンボンド債はCO2の削減・ごみの削減・有害物質の削減・飲用水にできるように水を浄化するといった環境に資する事業に対して発行できます。グリーンボンド債を起債する際にも第三者機関によるチェックが入りますが、集まった資金がきちんと目的通りに使われているのかもチェックされます。そうした厳しいチェック体制があるのが、グリーンボンド債の特徴です」(同)。

 ESG投資の機運が高まっているだけではなく、第三者機関による厳しいチェック体制も投資家から信頼と資金を集める要因になっています。第三者機関を入れることで、これまでの債券より発行に一手間かかるグリーンボンド債ですが、発行する側にもメリットがあります。グリーンボンド債という新しい債券を発行することにより、資金調達方法を多チャンネル化できるという点が挙げられます。資金調達の選択肢が複数できることで、発行する債券の利率を通常より低く抑えられるのです。

国内は低調 発行例はわずか5件……日本人の投資への関心の薄さ起因

 国際的にグリーンボンド債の機運が高まっている一方で、日本国内ではグリーンボンド債の機運は高まっていません。

「国内では、日本政策投資銀行が2014年、三井住友銀行が2015年と早い段階からグリーンボンド債を発行しています。とはいえ、いまだ日本での動きは鈍く、グリーンボンド債の発行例はわずか5例。総額で1500億円程度です」(同)。

 日本国内でグリーンボンド債が注目されないのは、ESG投資という概念が定着していないことが大きな要因ですが、そもそも日本人が株式市場や債券市場に対して関心が薄いことにも起因しています。そのため、国内で発行された数少ないグリーンボンド債も主に機関投資家を対象にしていました。

トライアル版「環境サポート債」は発売初日に完売

 環境省は2016年にグリーンボンドに関する検討会を立ち上げ、国内市場でグリーンボンド債を普及させる術を模索しています。

 環境省の動きよりも一足早く、都は昨年11月にグリーンボンド債のトライアル版として「環境サポーター債」を発行しました。環境サポーター債は、個人・団体問わず購入が可能で、100億円の債券は発売初日で完売。

 そうした状況を受け、都は今年度の10月〜12月に200億円分のグリーンボンド債を発行する予定にしています。グリーンボンド債で集めた資金を、都は上下水道の省エネ化や環境にやさしい都バスの導入のために使うとしています。

 都が地方自治体として初めて挑戦するグリーンボンド債の発行は、まさに環境大臣を経験している小池知事ならではの政策といえるでしょう。

 小川裕夫=フリーランスライター

 

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